阿妮絲的隨筆

クランクイン直後の10月7日、物語の重要な舞台となる台湾で、3日間にわたる海外ロケがス タート。出発時は台風18号の影響で飛行機の便を変更するというアクシデントがあったものの、及川光博、黒木メイサらメインキャストと、権野元監督が率い るスタッフは無事、台北の地に降り立った。

夜になると、撮影チームは台湾随一の人気スポットである夜市(ナイトマーケット)へ。野々宮と 黒木演じる潜入捜査官・エリカが出会ってまもなく夜市に出かけるが、エリカは宝石店オーナーの秘書になりすましているだけに2人の間には緊張感も漂うとい う場面。そこで及川と黒木は、台湾版の金魚すくいとも言える“エビ釣り”にも挑戦。針と糸と棒だけの仕掛けでエビを引っ掛けるのはなかなか難しく、演技中 はうまくいかなかったが、待ち時間に及川が再チャレンジしたところ、今度はみごと成功。及川は「釣れた！」と大喜び。黒木も満面の笑みを見せた。行き交う 人にカメラを向けられることもあったが、ハプニングはなく無事に撮影終了。

他にも、ニセ札作りの名人・後藤役の高橋克実が夜の街を走ったり、ニセ札鑑定のプロであるフクロウ役の林遣都が台北松山空港でクランクインしたりと、3日間をフルに使い市内を分刻みで駆け巡る撮影が続いた。

また台湾といえばグルメも楽しみのひとつだが、ロケ中の食事、いわゆるロケ弁はごはんの上に 様々なおかずと大きなお肉がドドンとのった台湾スタイルの排骨弁当。しかし油っこい食事が続いた為キャスト・スタッフともにちょっと飽きが…。そんな時！ 野々宮の弟分・鉄幹役の阿部力は日中のバイリンガルとあって、夜市で名物のフルーツドリンクを自ら購入し、撮影隊に差し入れ。疲れがピークに達していたロ ケ隊に活力が蘇った。

異国の地で早朝から深夜までのロケをこなした及川は、「目が 回るほどの移動と撮影の連続でしたが、逆にぐっすり眠れました(笑)。台湾は初めてだったのですが、とても馴染みやすかったです」と充実した表情で振り 返った。黒木も「海外ロケは終わりましたが、『悪貨』はここからですね」と、日本での撮影に向けて気持ちを新たにしていた。